二次試験で点数が伸びない解答の特徴【採点する側になって分かったこと】

二次試験で点数が伸びない解答の特徴【採点する側になって分かったこと】

こんにちは。中小企業診断士のまっころです。

 

私は中小企業診断士に登録後、とある資格予備校で、二次試験の模試の採点をするバイトをしました。

私が採点を行ったのは、ある事例の、約50人分の答案です。

 

採点は、その予備校の方針に従って行うのですが、採点をしている最中、「こう書いてあればもっと点数が伸びたのに!」と思うことが何度もありました。

 

本記事ではその経験を元に、「点数が伸びない解答の特徴」を書いていきたいと思います。

 

点数が伸びない解答の特徴①:「○○は、」で書き始めない

二次試験の解答のセオリーとして、

  • 「理由を答えよ」という問題には、「理由は、」で書き始める
  • 「強みと弱みを答えよ」という問題には、「強みは、弱みは、」で書き始める
  • 「問題点と改善策を答えよ」という問題には、「問題点は、改善点は、」で書き始める

というのがありますよね。

 

ほとんどの人がそのような解答になっていましたが、そうではない解答もありませんでした。

 

細かく見ると、問われ方によって、だいたい3パターンに分けることができました。

 

その①:強み弱みを問われる設問

私が担当した解答の中で、

強みと弱みを答えよ

という問題には、ほとんどの人が

解答

強みは、~~~。弱みは、~~~。

で書き始めていました。割合にすると、約95%の人がそうでした。

 

まあ、強み弱みについては、このパターンしかないという感じですよね。

1問目に多いパターンだと思います。

 

他にも、平成30年度の事例IIの第1問、

B社の現状について、3CCustomer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。

に対しての、

  • 顧客は、
  • 競合は、
  • 自社は、

もそんな感じですよね。

 

 その②:問題点から、改善策・対策を問われる設問

その②は、

  • 問題点と改善策を答えよ
  • 問題点と対策を答えよ

という問題です。その①との違いは、2つの要素が並列の要素ではないということです。

 

このような問題では若干傾向が異なりました。

 

ほとんどの人(約9割)が、

解答

問題点は、~~~。

で書き始めていましたが、そのまま、

解答
  • 問題点は、~~~。改善点は、~~~。
  • 問題点は、~~~。対策は、~~~。

と書いていた人は5割ちょっとくらいでした。

 

つまり、「セオリー通りだったのは最初の書き出しだけだった人」が半数近くいた訳ですね。

 

これは意見が分かれるかもしれませんが、私としては、

解答
  • 問題点は、~~~。改善点は、~~~。
  • 問題点は、~~~。対策は、~~~。

と書いた方が良いんじゃないかと思います。

 

採点する側としてまず意識したことは、「ちゃんと問題点と改善策・対策が書かれているか?」ということでした。

 

「そんなの書いて当然でしょ」と思うかもしれません。

もちろん、ほとんどの解答で、しっかりと「問題点と対策」が書かれていました。

 

が、一部において、

  • 問題点だけしか書かれていない
  • 書き方が曖昧で、どこから改善策・対策か迷う

といった解答がありました。

 

なので、やはり第1段階としては「ちゃんと問題点と改善策・対策が書かれているか?」をチェックせざるを得ないのです。

 

そこで、「問題点は」「改善点は」「留意点は」「対策は」という文字が目に入ると、容易に「第1段階クリア」となるのです。

なので、迷うくらいならセオリー通り書いた方が安全だと思います。

 

こういった問われ方は、2〜4問目に多いですよね。

 

その③:助言・提案・成長戦略を問われる設問

最後はその③です。

 

最終問題に多い、

  • 助言
  • 提案
  • 成長戦略

を問われる設問です。

 

これらは、「○○は、」と書きにくいことも多いですよね。

 

最終問題に関しては、私が担当した答案でも○○は、」で始まる解答は少なかったです。せいぜい3~4割程度でした。

 

なので、問われ方次第ですが、こういった設問では、あまりこだわらなくても良いかなぁ思います。

私は、「〇〇は、」で書いてましたけどね。

 

私の合格答案と点数はこちら↓

【中小企業診断士 二次試験 事例Ⅰ】実際の点数 vs ふぞろい流採点【徹底比較】

【中小企業診断士 二次試験 事例Ⅱ】実際の点数とふぞろい流採点基準の比較【再現答案】

【中小企業診断士 二次試験 事例Ⅲ】実際の点数とふぞろい流採点基準の比較【再現答案】

 

補足として、これは全体的に言えることですが、二次試験はオリジナリティとか不要なので、変なところでこだわるのはあまり良くないと思います。

素直にセオリー通りに書けば良いと思います。

 

点数が伸びない解答の特徴②:文章量のバランスが悪い

これは「並列する2つの要素」を書かせる設問に限った話ですが、これもまあまあ目立ちました。

 

「並列する2つの要素」というのは、例えば「強み」と「弱み」みたいなやつです。

 

「問題点」と「改善策」みたいなやつは、並列ではないと考えて、含んでいません。

 

で、例えばですが、

  • 「強みと弱みについて100字以内で答えよ」

という設問の場合、なるべくなら、

  • 強みを50字前後
  • 弱みを50字前後

でまとめたいですよね?

 

もちろん、ちょうど半分ずつにするのは難しいですし、そこまでする必要もないのですが、中には

  • 強み70字、弱み30字
  • 強み80字、弱み20字

くらいの解答もありました。

そして、その全てにおいて強み(要は、前半の解答)が長いのです。

 

基準を65%に設定して数えてみたところ(つまり、前半の解答が65字を超えている解答を数えてみたところ)、なんと3割もありました

 

3割もの回答が、

  • 前半の解答に65字以上
  • 後半の解答に35字以下

で解答しているのです。

 

バランス悪いですよね!?

 

恐らく、あまり考えずに書き始めて、前半が長くなってしまい、後半は短く詰め込んだのだと思います。

 

このような解答は、総じて弱み(要は、後半の解答)が弱く、その部分での加点が期待できません

 

もしかすると本人は「後半は加点が期待できないが、前半で高得点が取れるので、トータルではそこそこの点数」と思っているのかもしれません。

 

ただ、そもそも「強み弱みの合計で100字以内」と指定されている以上、「強みについて、50字以上書くことは無い」のです。

 

点数に繋がらないことを延々と書き、点数に繋がることが文字数オーバーで書けない。

点数が伸びないのも当然と言えます。

 

書く前に、全体の配分を考えてから書き始めたほうが良さそうです

 

前半後半の配分を考えて書くだけで上位7割に入れるかもしれないんです。ご存じでしたか?

 

点数が伸びない解答の特徴③:文章が長い

長い文章は避けた方が良いと思います。

 

「文章が長くても、正しいことが分かりやすく書いてあれば、それで良いのでは?」と思うかもしれません。

たしかにその通りです。

 

ただ、以下の2つの点で、長い文章は良くありません。

 

その①:長い文章は、読みづらい

長い文章は、それだけで読みづらいです。

 

長い文章は(たとえその文章が上手だったとしても)読み解くのに時間とエネルギーがかかります

 

採点者が1日に何人の答案を採点するのかは分かりませんが、長い文章が採点者にとってストレスになることは間違いないでしょう。

 

また、長い文章は主語と述語の距離が離れ、その間に修飾語や接続語がたくさん入ります。

 

もしかしたら採点者の人は、あなたが書いた文章を、あなたの意図とは違った受け取り方をしてしまうかもしれません。

 

リスクが高いです。文章は短い方が良いです。

 

その②:長い文章は、書くのが難しい

実は、こっちの理由の方が大きいです。

 

先ほどは採点者の視点で「長い文章は、読みづらい」と書きました。

ただ、採点者もプロです。

長い文章も正しく読んでくれなければ困りますし、実際のところ、正しく読んでくれているでしょう。

 

問題はこちら側です。

 

あなたのその長い文章、大丈夫ですか?

 

長い文章はそれだけで書くのが難しくなります。

理由は、先ほども書きましたが、長い文章は主語と述語の距離が離れ、その間に修飾語や接続語がたくさん入ります。

文章が複雑になります。

 

その修飾語や接続語を正しく使うのは非常に難しいです。

 

「僕は大丈夫?私は大丈夫?」

 

いやいや、そういう人ほど危ない。

 

自分の文章が分かりやすいと思っているのは、あなただけかもしれません。

 

更に、ただでさえ難しいのに、二次試験では、

  • 時間制限あり
  • 手書き(消して書き直すのが大変)

という制約付き。

 

つまり、推敲ができません。

 

推敲(すいこう)とは、文章を何度も練り直すこと。

引用元:Wikipedia

 

基本的に、文章は推敲を重ねることで良くなっていきます。

一発で書いた文章が、推敲を重ねた文章より優れているということは、基本的にはありません。

 

それなのに、ひどい解答になると、1つの設問の100字や120字を、1つの文章で繋げていました。

 

長い文章を書くことは、わざわざ自分でハードルを上げる行為です。

 

やめた方が良いと思います。短文を重ねて書けば良いです。

 

点数が伸びない解答の特徴④:「効果」の書きどころが悪い

「効果」まで書くのは効果的です。

 

特に事例Ⅱでは、

DND+K = 誰に、何を、どのように+効果

という解答セオリーがあり、効果まで書くのは非常に重要と言われます。

 

例えば、平成30年度の事例Ⅱの第4問、

B社は、X市の夜の活気を取り込んで、B社への宿泊需要を生み出したいと考えている。B社はどのような施策を行うべきか、100字以内で述べよ。

であれば、

解答

○○や○○を行い、宿泊需要を生み出す

まで書きたいところですし、

同じく平成30年度の事例Ⅰの第4問、

A社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

であれば、

解答
  • ○○や○○を行い、社員のモラールを向上させる
  • ○○や○○を行い、組織活性化を図る

まで書くと良いと思います。

 

赤い下線部が「効果」ですね。

 

ただ、書かなくても良いところに、何気なく書いてしまっている解答が多くありました。

 

例えば、強みと弱みを書かせる設問で、

解答

強みは○○であり、それによる低コスト・高品質な製品は市場で高い評価を得ている。弱みは○○であり、それによりユーザーに直接訴求できず、機会損失が多く発生している

というような解答がありました。

 

また、問題点と改善策を書かせる設問で、

解答

問題点は○○であり、それによって納期遅延が発生して顧客からのクレームに繋がったり、高コストによる赤字に発生しているている。改善策は~~~。

と細かく書いてしまっています。

 

設問は「問題点を書け」と言っているのに、赤の下線部は問題点ではなく、問題点が存在することによる効果です。

 

こういった書き方は、

  • なんとなく文章として書きやすいですし、
  • 詳しく書きたい気持ちも分かりますし、
  • 実際読みやすい

のですが、これで文字数を稼いではいけません。

 

他にも指摘すべき事項があるはずなので、それを探すべきなのです。

 

点数が伸びない解答の特徴⑤:無くても成り立つ文章に文字数を割いている

これは、細かく言い出すとキリがないですし、どんな解答にも少しはあるものです。

 

ただ、やり過ぎは良くないです。これもいくつかのパターンがあります。

 

その①:冒頭の「○○は、」の前に余計な文章がくっついている

私が採点した解答では、例えば、強み弱みを書かせる解答で、

解答
  • C社の事業展開として、今後は○○に注力していくことになるが、強みは、
  • 今後、この業界では技術力が差別化に繋がることを考えると、強みは、
  • C社の主力商品の売上拡大に向けて、強みは、

みたいな書き出しをしてみたり、生産計画が悪い原因を書かせる解答で、

解答
  • C社が効率的な生産計画を立てられない原因は、
  • C社の生産計画が甘く、原価が高い原因は、

と書き出してみたり。

(模試の解答をそのまま書くわけにはいかないので、文章は大幅に変えていますが、概ねこんなイメージです)

 

赤の下線部が無駄な部分ですね。

 

これ、この記事でも書いていますが、実は私もやってしまいました。

 

この記事です。

【中小企業診断士 二次試験 事例Ⅱ】実際の点数とふぞろい流採点基準の比較【再現答案】

 

事例Ⅱの第1問です。

B社の現状について、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。

解答

B社は、昔ながらのビジネスを続ける、地方の小規模老舗日本旅館である。顧客は、昔からの仕事や執筆・創作活動を行う固定客3をメインに、インバウンド客32割2ほど。競合は駅前にビジネスホテルが2軒あるものの、ほぼない3状況。自社は、45年の古い建物2と朝食なしのサービスで、業績を落としつつある3現状である。

ふぞろい流採点基準による採点:16点 / 25点

 

赤の下線の部分です。変な文章がくっついてますよね。

 

その後は、「顧客は、競合は、自社は、」とセオリー通りの解答をしているのですが、その前に、なんと34字も使って、

  • B社は、昔ながらのビジネスを続ける、地方の小規模老舗日本旅館である。

と書いています。

 

多分、この部分には点数が入っていないと思われます。結果的に合格できたので良いのですが非常にもったいなかったです。

 

その②:修飾語が多い

程度によるのですが、修飾語が多すぎると文章が長くなってしまいます。

 

例えば、

解答

高い技術力で他社を圧倒し、問い合わせが増えつつある製品Aに注力し、~~~。

というような回答です。

 

赤い下線部、無駄に長いですよね。そして、無くてもいいですよね。

 

解答

今後は製品Aに注力し、~~~。

でも良いですし、せいぜい書くとしても、

解答

高い競争力を持つ製品Aに注力し、~~~。

で充分です。

 

この問題の厄介なところは、

  • 自分としては、分かりやすい解答をしようとして書いている
  • そして実際に分かりやすくなっている

という点です。

 

自分で気付きにくいのです。

 

実際の提案書にこのように書くのは全く問題ありません。

でもこれは文字数制限がある試験です。

 

やはり、文字数がもったいないと言わざるを得ません。

 

「二次試験は中小企業への提案だ。だから、僕・私は分かりやすい文章を書く!」という人もいるかもしれません。

もちろん、そういった考えもあると思います。

 

ただ、問題は、「ライバルは、その文字数を使って加点の対象になることを書いていますが、大丈夫ですか?」という点です。

 

これは試験ですから、それなりの書き方が重要だと思うのです。

 

点数が伸びない解答の特徴⑥:要素が少ない

実は、点数が伸びない理由はだいたいこれだと思います。

 

ここまで書いてきた、

  • 文章量のバランスが悪い
  • 文章が長い
  • 「効果」の書きどころが悪い
  • 無くても成り立つ文章に文字数を割いている

なども、なぜそれがダメかと言えば、それによって書ける要素が少なくなってしまうからなのです。

 

例えば、

強みと弱みについて100字以内で答えよ

という設問の場合、なるべくなら、

  • 強みを2点程度
  • 弱みを2点程度

書きたいところです。

 

○○の理由を100 字以内で答えよ。

という設問の場合、なるべくなら理由を23点程度書きたいところです。

 

これが少ないとやっぱり弱い。点数が伸びにくいです。

 

その指摘した点が、どれだけ正しく、どれだけ詳しく書かれていても、点数は伸びにくいです。

 

与件文にはもっとヒントがあるのです。

たとえ詳しく書けなくても、キーワードだけでも書くべきです。

 

二次試験では採点者に「詳しく聞かせてくれ!」と言わせなければなりません。

そして、「他には?」と言わせてはいけません。

 

採点者に言わせなければならない言葉についてはこちらに書いています。

二次試験の本質に迫る【キーワード or 文章】

 

さいごに

さて、ここまで「点数が伸びない解答」について書いてきました。

 

これらを守れば二次試験に合格できるのか。それは分かりません。

 

ただ、二次試験において、減点されるポイントが少ない解答を書くことは、とても重要です。

 

最も重要なのは、普通の解答を確実に書くことです。

二次試験は普通の解答で合格できる【採点する側になって分かったこと】

 

ぜひ、あなたの知識をフルに生かすためにも、点数が伸びない書き方を回避し、高得点を目指してください!

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