振り返る。科目ごとのお勧め勉強法【企業経営理論】

振り返る。科目ごとのお勧め勉強法【企業経営理論】

中小企業診断士を目指す人の多くが最初に取り組む科目。企業経営理論。どのように勉強されていますか?

 

こんにちは。中小企業診断士のまっころです。

 

本記事では、企業経営理論の勉強法について、私が行った勉強法を振り返りながら書いていきたいと思います。

 

企業経営理論の勉強時間と得点

私は、勉強するときは必ず「Study Plus」というスマホアプリを使っていましたので、勉強時間は正確に残っています。トイレに行くときはストップウォッチを一時停止させるほど、徹底していました。

これから独学で勉強を始めようという方の、参考になればうれしく思います。

 

余談ですがこのアプリ、勉強の記録にお勧めですよ。

https://www.studyplus.jp/about

 

総勉強時間

企業経営理論のトータル勉強時間:87時間54分

 

私が、企業経営理論を勉強した時間は、合計で87時間54分でした。

多いでしょうか?少ないでしょうか?

 

中小企業診断士の取得までには、約1,200時間かかると言われます。

一次試験7科目+二次試験4科目で1,200時間ですから、企業経営理論に87時間はまずまずというところかもしれません。

 

勉強時間の内訳(1年目と2年目)

  • 1年目:66時間3分
  • 2年目:21時間51分

勉強のメインは1年目です。66時間3分勉強しています。

主にTAC スピードテキストと、TACスピード問題集で勉強し、結果は59点でした。

 

2年目は、主に過去問を中心に勉強し、結果は71点。一次試験合格に大きく貢献してくれました。

 

勉強時間の内訳(使った教材別)

  • TAC スピードテキスト:51.5時間(58.6%)
  • TAC スピード問題集:18.5時間(21.0%)
  • TAC 過去問題集:16.0時間(18.2%)
  • 自作ノート:0.8時間(0.9%)
  • 自作暗記カード:1.1時間(1.3%)

TAC スピードテキストを使った勉強が最も多く、51時間31分も費やしています。

 

理想的な勉強は、

  • テキストは早々に終わらせ、
  • 過去問に多くの時間を使うこと

なので、あまりいい内訳とは言えませんね。

 

企業経営理論ってどんな科目?

企業経営理論は、試験時間も90分と長く、二次試験にも大いに影響します。

特に、

  • 事例Ⅰ
  • 事例Ⅱ

への影響が大きく、診断士試験の中で、文句無しの最重要科目です。

 

様々な専門用語も出てきますが、敢えて用語を覚えようとする必要は無いと思います。

大丈夫。そのうち自然と覚えます。

 

中小企業診断士を目指す方は、経営に興味がある方が多いでしょうから、この科目は学んでいて楽しいのではないでしょうか。

 

この企業経営理論という科目は

  • 経営戦略
  • 組織論
  • マーケティング

の3つに分けられます。

 

経営戦略

経営戦略は、企業経営理論の中でも、最初に勉強する分野だと思います。

 

この分野は、全体的に面白い企業経営理論の中でも、最も面白い分野ではないでしょうか。

この分野の勉強がつまらなかったという人は、あまり聞いたことがありません。

 

楽しい分野なので、どんどん進めていけばいいのですが、あえてコツを上げるとすると「具体的な企業・業界に当てはめて考える」でしょうか。

 

例えば「競争地位別戦略」を国内の自動車メーカーに当てはめると、

  • リーダー:トヨタ
  • チャレンジャー:ホンダ・日産
  • フォロワー:マツダ
  • ニッチャー:スズキ・ダイハツ・スバルなど

といった感じになります。

  • 自分が勤めている会社に当てはめて考える
  • 自分が好きな製品に当てはめて考える

などが、効果的だと思います。

 

組織論

経営戦略の次に出てくるのが、この組織論です。

 

「経営戦略と組織論」は、二次試験の事例Ⅰに直結する科目です。

 

この分野は少しだけ暗記が必要な分野ですが、問題を解きながら覚えていくのが良いと思います。

いきなり暗記に走るのはお勧めできません。

 

この組織論も、企業で働く人(特に大企業で働く人は)は、自分の会社に当てはめて考えると理解が早まると思います。

 

例えば、

  • 各組織のメリットやデメリット
  • 官僚制組織や官僚制の逆機能)
  • グループシンク

などは、組織で働く人にとっては、日々感じることだと思いますよ。

 

労働関連法規

この分野は組織論に含まれますが、若干趣が異なるため、抜き出して書きます。

 

毎年5問程度出題されますが、分野が深く特殊なため、扱いに困る分野です。

「全部捨てる」という判断をする人もいるのではないでしょうか。

 

正直言うと、私は全部捨てました。

 

しかし、「毎年5問程度」というのが微妙で、捨てるに捨てられない人もいると思います。

できれば簡単な問題2~3問は取りたいところですよね。

 

そんな時は「中小企業診断士1次試験 一発合格まとめシート」で勉強することをお勧めします。

まとめシートに書かれていることだけであれば、直前に丸暗記も不可能ではないかと思います。

それで2問くらいは取れるような気がします。

 

私の場合、まとめシートの存在を知ったのが一次試験に合格した後だったので使えませんでしたが、非常に効率が良い勉強法だと思います。

 

この本は本当にお勧めで、別科目ですが、

  • 運営管理のまちづくり三法

にも使えます。

 

また、「前編」は掲載科目が、

  • 企業経営理論
  • 財務・会計
  • 運営管理

の3つなので、二次試験対策にもそのまま使えます。

 

マーケティング

主要3分野で最後の分野となるマーケティングは、二次試験の事例Ⅱに直結する分野です。

 

マーケティングも学習していて面白い分野ではないでしょうか?

この分野がつまらないという声も、あまり聞いたことがありません。

 

二次試験の事例Ⅱも得意な人が多いですしね。

 

二次試験を意識して学習を進めるのであれば、中小企業が行えるマーケティングを意識して学習するのがいいと思います。

 

企業経営理論の勉強を振り返った反省点

それでは、私の勉強を振り返った反省点を書いていきたいと思います。

 

反面教師として、私の反省点を少しでも生かしていただければと思います。

 

反省点①:テキスト、問題集をメインで勉強した

私は、1年目をテキストと問題集のみで勉強し、過去問は一切使いませんでした。

 

これは、

  • 「テキスト」で知識をつけ、
  • 「問題集」で知識の使い方を確認し、
  • 「過去問」で腕試し・最後の確認をする

という勉強法が正しいと勘違いしていたからです。

 

問題集を解く力があれば、本試験の問題も解けると思っていたのです。

これは100%間違いです。

 

正しくは、

  • 「テキスト」で知識をつけつつ、
  • 「問題集」で知識をつけつつ、
  • 最終的に「過去問」でしっかり知識をつけ、知識の使い方を確認し、腕試し・最後の確認をする

です。過去問で全てを行うのです。

 

テキストと問題集はざっと流して構いません。

それよりも早く過去問にたどり着き、過去問を使った勉強を繰り返すことが重要です。

 

反省点②:自作ノート作りを行った

ある本のお勧めもあり、テキストの内容をノートにまとめるという勉強法を行いました。

 

自作ノートは、

  • ノートにまとめることによって、理解を深める
  • 作った後は、それを見て復習する

という2つの効果を狙って作成しましたが、どちらも役に立ちませんでした

 

結局のところ、自作ノート作りでできたのは「劣化版テキスト」に過ぎなかったのです。

こんなノートを作っていました。本当に時間の無駄。

 

私が行った役に立たなかった勉強法は、他にもこんなにたくさん。

役に立たなかった勉強法(一次試験)

 

企業経営理論の勉強を、過去問中心で進めるべき理由

さて、先ほど、「企業経営理論の勉強を振り返った反省点」の中で、「テキスト、問題集をメインで勉強し、過去問を活用しなかったこと」を反省点として挙げました。

 

中小企業診断士の勉強では過去問が重要とされますが、さて、なぜ過去問が重要なのでしょうか?

理由を2つ挙げます。

 

理由①:知識をやみくもに詰め込むのは効率が悪い

まずは、理由①です。

知識をやみくもに詰め込むのは効率が悪いです。

 

中小企業診断士の試験は長丁場。

  • 理解しなくてはならないこと
  • 覚えなくてはならないこと

は、膨大にあります。試験に出ないところを覚えている暇はありません。

 

中小企業診断士の一次試験では、重要な論点は繰り返し出題されます。

過去問がすべて解ければ、間違いなく合格できます。

 

「過去問に出ていない論点が出題されたら?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。

  • 出たとしてもごく僅かなで、解けなくても合否には影響ないレベル
  • 過去問で学習した知識の応用で解けることも多い
  • 誰も解けない問題ばかりで平均点が大きく下がるようなことがあれば、救済があることも多い

です。

 

過去問をマスターすることが、合格への最も近道となります。

 

理由②:問題集と過去問は難易度が異なる

これは、つい過去問を避けてしまう理由にもなりますが、過去問は難しいです。

 

ほとんどの科目で、過去問は難しいです。

(財務・会計や経済学・経済政策はちょっと違うかもしれませんが・・・。)

 

特に、企業経営理論では、問題集と過去問は全く別物と言っていいかもしれません。

それくらい、問題のレベルが違います。

(もちろん、どの問題集かにもよりますが・・・。)

 

問題集をいくら回したところで、過去問が解けるようにはなりません。

 

過去問は難しいため、過去問を1問解くのに使う労力・時間で、問題集を4~5問解けたりします。

そうなると、人間、どうしても弱いものです。

問題集をやった方が、より勉強をした気になるので、問題集に逃げてしまうのです。

 

「過去問から逃げない」

 

これは、一次試験の全科目の勉強を通じて、重要な点だと思います。

 

過去問の実例

具体的な例を1つ挙げたいと思います。

 

以下の問題は、令和元年の企業経営理論の第2問目の問題文と、「イ」の選択肢の文章です。

問題文:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

選択肢イ:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、成長市場で市場シェアを維持するために必要な再投資を大きく上回るキャッシュフローをもたらし、資金の投入によって競争優位を維持する「花形」よりも、資金の流出を削減して競争優位を獲得できる「問題児」の選択が重要である。

引用元:令和元年 中小企業診断士 一次試験 企業経営理論 第2問

答えは×です。

が、ここでは答えはどうでも良いで、次の問題集の問題を見ましょう。

 

同じジャンルの、問題集の問題を見てみます。引用元は、私も愛用したTACのスピード問題集です。

選択肢ア:PPMは、事業間のジナジーを考えた効果的な経営資源の配分のために役立てることができる。

選択肢エ:負け犬の事業は、資金流入が少なく、資金流出が多いため、原則的には徹底していくことになる。

引用元:TAC 中小企業診断士 企業経営理論 スピード問題集 2017年版 問題19

 

まず、文章の長さが全く違いますよね。

本試験の問題は、問題集の約3倍の長さです。明らかに読む量が多く、これだけでも過去問は難しいと言えます。

 

そして、問われ方も、問題集は非常に単純です。

 

これは、TACのスピード問題集が悪いと言っている訳ではありません

問題集は、テキストの内容が理解できたかどうか、確認の意味で解くには非常に有効です。

ただ、問題集の問題が解けたかどうかと、本試験の問題が解けるかは、別問題と考えたほうが良いのです。

また、問題のクセ問われ方も把握しておく必要があります。

 

問われ方を知ることで初めて、覚えるべきポイントが分かるのです。

 

ただ、いきなり過去問に取り組んでも何が何だか分からないと思うので、そのために「テキスト」「問題集」を使うのです。

 

最初のうちは、テキストを見ながら過去問を解くのでも良いかもしれません。

過去問に取り組まないうちに、テキスト・問題集をたくさん回しても、あまり効果が上がらないと思います。

 

企業経営理論に関するお勧め書籍

さて、ここでは、

  • テキスト
  • 問題集
  • 過去問

以外の、お勧め書籍をご紹介します。

 

一発合格まとめシート

先ほどもお勧めしましたが、まずはこれ。

 

この「前編」は、掲載科目が、

  • 企業経営理論
  • 財務・会計
  • 運営管理

の3つなので、二次試験対策にもそのまま使えます。

 

また、暗記のコツなどが分かりやすく書かれており、例えば、モチベーション理論を唱えた学者の名前と理論を、

味はマックのハンバーグ(ランド) 店舗拡大目標に衛生面の充実達成

引用元:野網 美帆子(著) 中小企業診断士 一次試験 一発合格まとめシート 前編(企業経営理論・財務会計・運営管理)2018年度版

のような語呂合わせで覚えられるなど、効率的に勉強できると思います。

 

これも先ほど書きましたが、「労働関連法規」の分野は、このまとめシートであれば、覚えるべきことがまとまっており、とても効率的に勉強ができます。

 

実話を元にした経営小説

試験に直結するものではありませんが、2冊の実話を元にした経営小説をご紹介させていただきます。

企業経営理論に関するワードがたくさん出てきます。

経営理論が実際の企業経営に生かされる様子を読むことができます。

 

まずは、ボストンコンサルティンググループ出身で、元ミスミグループ本社社長の三枝匡さんの、

  • 「ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ」

三枝匡さんが社長を務めたミスミが舞台になっています。

 

もう1冊は、マッキンゼー出身のコンサルタント、稲田将人さんの

  • 「戦略参謀」

こちらは、スーツのアオキが舞台になっているようです。

 

どちらもほぼノンフィクションの企業再生物語で、

  • 経営戦略
  • 組織論
  • マーケティング

を駆使して企業を再生する様子は、企業経営理論の勉強に役立つと思いますよ。

気晴らし程度に読んでみてはいかがでしょうか。

 

私が作った暗記カード

最後に、書籍ではありませんが、私がこの勉強法で作成した暗記カードを公開します。

 

「Quizlet」というアプリを使っていました。

Quizlet企業経営理論

 

私が直前期に、

  • なんとなく曖昧なまま答えた問題
  • 間違えた、もしくは、分からなかった問題

をしっかり解答できるようにするために作った暗記カードです。

 

このままは使えないと思いますが、勉強の参考になれば幸いです。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

 

企業経営理論は、学んでいて「楽しい」と感じる人が多い科目ですが、高得点を取るのが難しい科目でもあります。

 

また、最初に勉強する人も多く、中小企業診断士の効率的な勉強法が理解できていないと、無駄な時間を費やしてしまうかもしれません。

 

そして、二次試験にも大きく関連する、最重要となる科目です。

 

得意科目にできるよう、正しい勉強法で頑張ってください。

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