【一次試験】公式いらずの財務・会計【利益差異分析】

【一次試験】公式いらずの財務・会計【利益差異分析】

財務・会計の問題を解くために、「公式を暗記しよう!」と頑張っている方はいませんか?

こんにちは。中小企業診断士のまっころです。

 

利益差異分析、難しいですよね。しかし、極論すれば、財務・会計の学習において公式の暗記は必要ありません。なぜなら、しっかり理解していれば、公式はその場で導き出せるからです。

 

今回は、利益差異分析について、暗記しなくても公式を導き出して問題を解く方法をお伝えしていきます。

 

公式を使わずに「CVP分析」を解く方法はこちら

【一次試験】公式いらずの財務・会計【CVP分析】

 

導き出す公式

今回、導き出す公式はこちらです。

売上高差異=実際売上高-計画売上高
=数量差異+価格差異
数量差異=(実際販売数量-計画販売数量)×計画販売価格
価格差異=(実際販売価格-計画販売価格)×実際販売数量

長いし、多いし、ややこしいですね。

特に太字の部分。数量差異は計画販売価格を掛けるのに、価格差異は実際販売数量を掛ける理由は一体何なのでしょうか?

これを、暗記ではなく理解すれば、「どっちだ?」と迷うことすらなくなります

理解すること

まず理解しなければならないことは、以下の公式です。

売上高差異=実際売上高-計画売上高
=数量差異+価格差異

これは説明は不要ですよね?

 

売上高の差異は、

  • 実際の売上から計画した売上を引いた額

で、差異が発生した理由は、

  • 多くor少なく売れたか(数量差異)
  • 高くor安く売れたか(価格差異)

のどちらかということですよね。

対話形式で公式を導き出そう!

さて、上記のことさえ理解できれば、公式を導き出せます。

実際に、平成27年の財務・会計の第8問を、この考え方で解いていきたいと思います。問題はこれです。

第8問

販売予算が以下のとおり編成されていたとする。いま、第2四半期(Q2)の実際販売量が1,100個、販売価格が99,000円であったとする。数量差異と価格差異の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

販売予算 Q1 Q2 Q3 Q4 合計
販売量(個) 1,000 1,200 1,400 1,400 5,000
売上高(万円) 10,000 12,000 14,000 14,000 50,000

[解答群]
ア 数量差異900万円(不利差異)と価格差異210万円(不利差異)
イ 数量差異1,000万円(不利差異)と価格差異110万円(不利差異)
ウ 数量差異1,100万円(不利差異)と価格差異10万円(不利差異)
エ 数量差異1,200万円(不利差異)と価格差異90万円(有利差異)

問題を解く前の確認事項は、以下の3点です。

  • 販売計画は1,200個、実際に売れたのは1,100個
  • 売上計画は1憶2,000万円、実際の売上は1憶890万円
  • 販売予定単価は1個10万円、実際に売れた単価は99,000円

これは、解く前に問題用紙にラインを引いたり、メモをしておくとよいと思います。

 

それで解いていきます。この問題を解くために公式は使いません。

2人の会話を通じて、公式を導き出していきます。

 

とある会社の営業部長と営業マンのA君に登場してもらいます。

  • A君は売上達成を目指す営業マン
  • 営業部長はA君の上司

です。

A君はなかなかノルマを達成できず、部長に怒られることが多いようです。それでは行きます。

 

営業部長
営業部長

お~い、A君。わが社の第2四半期の売上はいくらだ!?

営業マンA君
営業マンA君

え~と、販売量が1,100個で、販売価格が99,000円だから・・・

営業マンA君
営業マンA君

1憶890万円です。

営業部長
営業部長

なに!?売上目標は12,000万円だろう!1,110万円も不足しているじゃないか!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

営業部長
営業部長

なぜ達成できなかったんだ!

営業マンA君
営業マンA君

一生懸命やったのですが・・・。

営業部長
営業部長

そんなことは聞いていない!1,110万円も不足した理由を聞いているんだ!

営業マンA君
営業マンA君

はい・・・。景気も悪いですし・・・、お客様もなかなか話を聞いていただけなくて・・・。

営業部長
営業部長

違う!そんなことは聞いていない!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

営業部長
営業部長

え~い!もういい!じゃあ聞くが、いったい何個売れ残ったんだ!?

営業マンA君
営業マンA君

え~と、販売目標数が1,200個で、実際に売れたのが1,100個だから・・・

営業マンA君
営業マンA君

売れ残ったのは100です。

営業部長
営業部長

100個も!ということは定価が10万円だから、100×10万円=1,000万円の不足か!

営業部長
営業部長

あれ?不足額は1,110万円だろ?残りの110万円はどうしたんだ?

営業マンA君
営業マンA君

実は・・・値引き販売をしておりまして・・・。

営業部長
営業部長

何だと!値引きはするなといつも言っているだろう!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。お客様に「他社はもっと安かった」と言われて、つい・・・

営業部長
営業部長

もういい!で、いくら値引きしたんだ!?

営業マンA君
営業マンA君

10万円のものを99,000円で売ったので・・・、1個当たり1,000です・・・。

営業部長
営業部長

1,000円か・・・。ということは、売れたのは1,100個だから、1,000×1,100個=110万円の不足か。

営業マンA君
営業マンA君

はい・・・。

営業部長
営業部長

ということは、売上が1,110万円も不足した理由は、

  • 100個も売れ残ったことで1,000万円
  • 値引き販売したことで110万円

ということだな。

営業部長
営業部長

次からはこうやって分かりやすく報告しろ!

営業マンA君
営業マンA君

はい・・・。すみません・・・。

営業部長
営業部長

だいたいいつもお前は、あ~だこ~だあ~だこ~だ。

営業マンA君
営業マンA君

はあ・・・。早く説教終わらないかな・・・。

いかがでしょうか?

途中の部長のセリフが答えになります。

 

営業部長
営業部長

ということは、売上が1,110万円も不足した理由は、

  • 100個も売れ残ったことで1,000万円(数量差異、不利差異)
  • 値引き販売したことで110万円(価格差異、不利差異)

ということだな。

 

ということで、答えは「イ」ですね。

公式は使いませんし、「どっちが実際の数値でどっちが計画の数値?」と迷うことすらありませんよね?

 

ちなみに、上記では

営業部長
営業部長

え~い!もういい!じゃあ聞くが、売れ残ったのは何個なんだ!?

という、「数量差異を確認するセリフ」からスタートしています。

価格差異を確認するセリフ」からスタートするとおかしくなるのでは?と思われるかもしれませんが、大丈夫です。

途中、会話がちょっとおかしくなりますが、逆に、そのことで間違った答え(実際の数値と計画の数値を逆にしてしまう)を避けることができます

では、そのパターンも見てみましょう。

 

営業部長
営業部長

お~い、A君!わが社の第2四半期の売上はいくらだ!?

営業マンA君
営業マンA君

え~と、販売量が1,100個で、販売価格が99,000円だから・・・

営業マンA君
営業マンA君

1憶890万円です。

営業部長
営業部長

なに!?売上目標は12,000万円だろう!1,110万円も不足しているじゃないか!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

営業部長
営業部長

なぜ達成できなかったんだ!

営業マンA君
営業マンA君

一生懸命やったのですが・・・。

営業部長
営業部長

そんなことは聞いていない!1,110万円も不足した理由を聞いているんだ!

営業マンA君
営業マンA君

はい・・・。景気も悪いですし・・・、お客様もなかなか話を聞いていただけなくて・・・。

営業部長
営業部長

違う!そんなことは聞いていない!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

営業部長
営業部長

え~い!もういい!じゃあ聞くが、いったい君は商品をいくらで売ったんだ!?

営業マンA君
営業マンA君

10万円の商品を1,000円値引して、99,000円で売りました。

営業部長
営業部長

何だと!値引きはするなといつも言っているだろう!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

お客様に「他社はもっと安かった」と言われて、つい・・・

営業部長
営業部長

もういい!ということは、販売目標数は1,200個だから、

1,000×1,200個で120万円の不足か。

営業マンA君
営業マンA君

いえ、部長。実は100個売れ残っておりまして、1,100個しか売れておりません。なので、値引きしたのは1,100個だけです。

営業部長
営業部長

なに?

営業マンA君
営業マンA君

売れ残った100個は、もしかしたら定価の10万円で売れるかもしれません。

営業部長
営業部長

確かにそうだが・・・。ということは、1,000円×1,200個で120万円ではなく、1,000×1,100個で110万円の不足か。

営業マンA君
営業マンA君

はい。そうです!

営業部長
営業部長

というか、100個も売れ残っただと!なぜそれを先に言わない!

営業マンA君
営業マンA君

すみません・・・。

営業マンA君
営業マンA君

部長が先に販売価格を聞いたんじゃないか

営業部長
営業部長

売れ残った100個は定価で売れるんだろうな!?

営業マンA君
営業マンA君

そんなこと今から分かるわけないだろ・・・。でも「はい」って言っておかないとまた怒られるし・・・

営業マンA君
営業マンA君

はい!定価で売れるように頑張ります!

営業部長
営業部長

当たり前だ!そもそもお客様にちゃんと製品の良さを説明すれば、値引きしなくても買っていただけるんだ!だいたいお前はいつも・・・。

営業マンA君
営業マンA君

あわわわわ・・・

営業部長
営業部長

まあいい。ということは、売れ残った100×定価の10万円=1,000万円の不足か。

営業部長
営業部長

君が定価で売れるといったセリフを信じよう。というか、いくらで売れるかまだ分からないからな。

営業マンA君
営業マンA君

はい・・・。

営業部長
営業部長

ということは、売上が1,110万円も不足した理由は、

  • 100個も売れ残ったことで1,000万円
  • 値引き販売したことで110万円

ということだな。

営業部長
営業部長

次からはこうやって分かりやすく報告しろ!

営業マンA君
営業マンA君

え、でも部長も途中、計算が怪しかったような・・・

営業部長
営業部長

なんだって!?もう一回言ってみろ!

営業マンA君
営業マンA君

いえ!なんでもありません!

営業部長
営業部長

だいたいいつもお前は、

あ~だこ~だあ~だこ~だ。

営業マンA君
営業マンA君
 

はあ・・・。早く説教終わらないかな・・・。

 

いかがでしょうか?

このパターンのポイントとなるセリフは、

営業マンA君
営業マンA君

いえ、部長。実は100個売れ残っておりまして、1,100個しか売れておりません。なので、値引きしたのは1,100です。

営業マンA君
営業マンA君

売れ残った100個は、もしかしたら定価の10万円で売れるかもしれません。

の2つですね。

普通に考えて、売れ残った分まで値引きしたと考えるのは変ですよね。しかも、まだ売れていないわけですから、いくらで販売できるか、まだ分からないのです。

こう考えることで、知らず知らずのうちに、

数量差異=(実際販売数量-計画販売数量)×計画販売価格
価格差異=(実際販売価格-計画販売価格)×実際販売数量

この公式を使っていることになるのです。

 

さて、いかがでしょうか?

公式の暗記をしなくても、このように知らず知らずのうちに公式を使うことが可能です。

あとは、これを短時間で行うために、問題集や過去問で練習あるのみです!頑張ってください!

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