財務・会計の問題を解くために、「公式を暗記しよう!」と頑張っている方はいませんか?
こんにちは。中小企業診断士のまっころです。
財務・会計の学習において、極論すれば公式の暗記は必要ありません。なぜなら、しっかり理解していれば、公式はその場で導き出せるからです。
本記事では、一次試験・二次試験を通じて重要な論点であるCVP分析について、公式の暗記をしなくても問題を解く方法をお伝えしていきます。
公式を使わずに「利益差異分析」を解く方法はこちら。
導き出す公式
今回導き出す公式はこちらです。
S-VC-FC=P
S(1-α)-FC=P
これらの公式を、暗記しなくてもいつでも導き出せる方法をお伝えします。
CVP分析とは
公式を導き出す前に、まずはCVP分析について、改めておさらいしてみます。
CVP分析とは、Cost(原価)、Volume(営業量)、Profit(利益)の関係を分析する手法です。
- 製品を何個売れば
- 契約を何件取れば
- 来場者が何人来れば、
いくらの利益が出るのか?を分析することができます。
CVP分析を正しく行うことで、営業計画・販売計画などを正しく立てることができます。
公式の導き出し方
公式を導き出すには、まず3つのことを理解する必要があります。
それは、
- 売上・費用・利益の関係
- 変動費と固定費
- 売上と変動費の求め方
の3つです。
どれもとてもシンプルなことなので、簡単に理解できると思います。
では、順番に説明していきたいと思います。
理解すること1:売上・費用・利益の関係
まず、理解すること(暗記することではありません!)は、売上と費用と利益の関係です。
こう書くと難しく感じるかもしれませんが、とても簡単なことで、売上から費用を引いたら利益が残るということです。
式にすると
となります。
当たり前ですね。暗記するまでもありませんね。
理解すること2:変動費と固定費
理解することの2つ目は、変動費と固定費についてです。
費用は変動費と固定費に分解されます。
変動費とは
変動費とは、売上に比例して変動する費用のことです。
変動費には、例えば、
- 材料費
- 外注加工費
- 運送費
- パート社員の人件費
などがあります。
固定費とは
固定費とは、売上に関係なく、固定的に発生する費用のことです。
固定費には、例えば、
- 支払家賃
- 減価償却費
- 保険料
- 支払利息
- 正社員の人件費(固定給部分)
などがあります。
式にすると
理解すること3:売上と変動費の求め方
理解することの3つ目は、売上と変動費の求め方です。
この2つは実は求め方が同じで、単価×数量で求められます。
売上=販売単価×数量
変動費=1個当たりの変動費×数量
となります。
ここまで、大丈夫ですよね?
CVP分析の公式を導き出そう
さて、上記で説明させていただいた3つ、
- 売上・費用・利益の関係
- 変動費と固定費
- 売上と変動費の求め方
は理解できましたか?
「はい!ちゃんと暗記できました!」という方は、もう一度読み直し&考え直しです。
「暗記」できたではダメで、「理解」できていないといけません。
さて、理解できましたね?では、ここから公式を導き出していきます。
導き出すといっても、何もないところから公式を産み出すわけではありません。最初の公式を変化させていきます。
CVP分析の公式:第1形態(変化前)
最初の公式は、
CVP分析の公式:第2形態
次に理解したことは、費用は「変動費と固定費に分けられる」でしたね。分けましょう。
はい、分かれました。次です。
CVP分析の公式:第3形態
その次に理解したのは、「売上と変動費は単価×個数で求められる」でしたね。式を変化させましょう。
となりました。できました、完成です。
簡単すぎますか?
問題の解き方
さて、公式が導き出せました。
この式だけで、一次試験・二次試験を通じて、CVP分析の問題が全部解けます。
テキストによっては、公式がいくつも出てくることがありますが、CVP分析で使う公式はこれだけです。
どうやって解くかというと、この公式の中の求める値をxと置く方程式を解くのです。
実際に例題を解いてみましょう。
<例題1>
販売価格1,000円、変動費400円、固定費が120,000円の時、損益分岐点となる販売個数は何個か?
「販売個数は何個か?」なので、販売個数をxと置きます。
1,000円 × x個 - 400円 × x個 - 120,000円 = 0円
x = 200
答え200個
<例題2>
販売価格1,000円、変動費400円、販売量190個、固定費が120,000円の時、10,000円の利益を出すためには、固定費をいくら削減すればよいか?
若干ややこしくなりましたが、これも同じです。
「固定費をいくら削減すればよいか?」なので、削減すべき固定費をxと置きます。
1,000円 × 190個 - 400円 × 190個 - (120,000円 - x円) = 10,000円
x = 16,000
答え16,000円
簡単でしたか?
最後に
CVP分析はとても重要な論点です。苦手な方も多いと思います。
しかし、公式を覚えるのではなく、理解して導き出せるようにすることで、
- 時間が経っても忘れにくくなる
- 応用問題やひっかけ問題にも対応しやすくなる
という大きなメリットがあります。
じっくりと考え、理解できるように頑張ってください!