財務・会計 徹底分析その1 全体分析

財務・会計 徹底分析その1 全体分析

こんにちは。まっころです。

今回は、中小企業診断士試験に合格する上では避けては通れない「財務・会計」について、徹底的に分析していきたいと思います。

この科目は、一次試験はもちろん、二次試験でも「事例Ⅳ」で関わってくる科目で、最重要科目と言って良いです。

この科目が苦手な方は多いと思いますが、本来苦手であれば「最も勉強時間を多くとらなければならない」はずですが、「苦手意識が強すぎて勉強が進まない(勉強する気にならない)」ケースが多いのではないかと感じています。

 

今回の記事を読んでいただくことで、

  • 財務・会計の全体感を俯瞰できる
  • どの分野の学習を優先すれば良いか把握できる
  • 財務・会計の苦手意識が少しだけ取り除かれる
  • 勉強してみようという気になる

となることを目指して書きました。特にこの科目が苦手な方の参考になればうれしいです。

 

ちなみに・・・、私は幸いなことに、この科目は得意でした。

過去問に一切手を付けずに挑んだ初年度に、唯一科目合格したのはこの科目でしたし(76点、平成29年度、比較的易化した年でした)、2年目は他の科目に時間を取られ、復習もほとんどできないまま挑みましたが、合格点(64点、平成30年度、難化と言われた年です)を取ることができました。

また、平成30年度の二次試験「事例Ⅳ」では、計算問題は1問を除き正解、その1問も別解と考えても良いレベルでした。

また、簿記2級を持っていましたし、簿記1級の勉強をした経験もありました。

すみません。自慢っぽくなりましたが・・・、そんな私が改めて「財務・会計」を振り返り、徹底的に分析してみたいと思います。

財務と会計

早速ですが、「財務・会計」という科目は「財務」と「会計」に分かれます。それぞれ、「財務→ファイナンス」「会計→アカウンティング」と訳されます。

また、

  • 財務=ファイナンス
    • 資金の調達・運用のこと。調達した資金運用を最大化するように管理する。
  • 会計=アカウンティング
    • 企業が行う事業を記録・報告すること。

という意味があります。

そんなことは分かり切っていますよね。では、財務と会計、どちらが重要でしょうか?

 

もちろんどちらも重要です・・・で終わってしまったら何の参考にもならないので、一次試験の科目としてどちらが重要か?(どちらの配点が高いか?)を分析してみました。

平成25年度~30年度の6年分(151問)の問題を財務と会計に分けると、配点は以下のようになりました。

(6年分なので点数の合計は600点となりますが、分かりやすいように6で割って100点満点に直しています。)

分野 配点
会計 50.3点
財務 47.7点
その他 2.0点
合計 100.0点
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若干「会計」の方が多いですが、ほぼ同じですね。結論は変わらず「どちらも同じように大事」です。

細かな分野ごとの配点

財務と会計はほぼ同じ配点でしたが、もう少し細かく分析するとどうでしょうか?同じく平成25年度~30年度の6年分(151問)を分析してみました。

以下の分類は、TACのスピードテキストを元にしています。他のテキストだと少し異なるかもしれません。

分野 配点
財務 ファイナンスⅡ(証券投資論) 23.3点
財務 ファイナンスⅠ(企業財務論) 16.7点
会計 会計規則 14.0点
会計 B/S、P/Lの作成プロセス 11.7点
会計 原価計算 9.3点
財務 意思決定会計 7.7点
会計 経営分析 6.7点
会計 管理会計 6.0点
会計 CF計算書の作成プロセス 2.6点
その他 その他 2.0点
合計 100.0点
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財務・会計の問題数は25問ですので、1問4点(近年では平成25年のみ例外で26問出題されており、若干配点が異なります)です。

最も出題が多い「ファイナンスⅡ(証券投資論)」は配点の平均が23.3点ですから、平均して6問程度出題されることになります。非常に重要ですね。

 

年度ごとの推移を見ると、以下のようになります。

分野 H25年 H26年 H27年 H28年 H29年 H30年
財務 ファイナンスⅡ(証券投資論) 16点 24点 16点 28点 28点 28点
財務 ファイナンスⅠ(企業財務論) 16点 24点 16点 16点 16点 12点
会計 会計規則 20点 12点 4点 16点 20点 12点
会計 B/S、P/Lの作成プロセス 14点 12点 16点 8点 8点 12点
会計 原価計算 12点 4点 8点 12点 12点 8点
財務 意思決定会計 10点 4点 16点 4点 4点 8点
会計 経営分析 8点 8点 8点 4点 8点 4点
会計 管理会計 4点 8点 12点 4点   8点
会計 CF計算書の作成プロセス     4点 4点 4点 4点
その他 その他   4点   4点   4点
合計 100点 100点 100点 100点 100点 100点
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特徴として見られるのは、

  • 最も出題が多い「ファイナンスⅡ(証券投資論)」は、増加傾向にある。特に直近3年で多く出題されており、毎年配点が28点分(7問)出題されている。
  • 「ファイナンスⅠ(企業財務論)」は毎年ほぼ12~16点分(3~4問)出題される。
  • 「会計規則」は、平成27年が少なく平均を押し下げているが、最大20点分(5問)出題される年もあり、注意が必要。

といったところでしょうか。

問題の形式

出される分野は分かりましたが、「問題の形式」はどうでしょうか?

ここでは問題の形式を、「計算問題」「知識問題」「グラフ読み取り問題」の3つに分けました。

問題の形式 配点
計算問題 48.8点
知識問題 45.8点
グラフ読み取り 5.4点
合計 100.0点
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財務・会計らしく「計算問題」が一番多いのですが、計算ばかりできれば良いというわけでは無さそうです。知識もしっかり問われます。

知識問題とは、例を挙げると以下のような問題です。

平成30年度の第20問

市場の効率性に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  • ア ウィーク型仮説とは、現在の株価は、過去の株価、取引高などを織り込んでい
    る結果、過去のデータから、将来の株価の変動を予測することは不可能であると
    する仮説である。
  • イ 効率的市場仮説とは、情報が即座に価格に織り込まれることを通じて、市場で
    は効率的な価格形成が達成されているとする仮説である。
  • ウ 資本市場における取引上の効率性とは、手数料、税金、制度、法律などの面で
    取引を円滑に実施するための取引システム全般が機能しているかどうかを意味す
    る。
  • エ セミストロング型仮説とは、市場の効率性は限定的であるので、ファンダメン
    タル分析を使って超過収益獲得の機会が存在することを示す仮説である。

正解は「エ」ですが、こういう問題は計算練習を繰り返しても解けないことが分かりますよね。計算練習はもちろん大切ですが、こういう問題も半数近く出題されます。

 

ちなみに「グラフ読み取り問題」は、全て「ファイナンスⅡ(証券投資論)」の分野です。他の分野では出題されていません。

「ポートフォリオ」や「コールオプション・プットオプション」のグラフが良く出題されます。

まとめ

いかがでしょうか?

問題の傾向をまとめただけですので、この記事を読んだだけでは問題は解けるようにはなりません。ただ、「財務・会計にどんな問題が出題されるのか」ある程度把握できたのではないでしょうか。

次の記事からは、分野ごとにさらに細かく分析していきます。まずは「ファイナンスⅡ(証券投資論)」です。

財務・会計 徹底分析その2 ファイナンスⅡ(証券投資論)

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